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移住者インタビュー

一目惚れした日本家屋を、地域の人々が集える場所に

齋藤 愛さん

2021年 広島市 → 呉市室瀬町
広島県広島市出身  Iターン
人とコトを結わうイベントプランナー/『結わふ』主宰

interview:2024.06.28

呉市宮原地区室瀬町。山沿いの団地に建てられた日本家屋に一目惚れし、広島市から家族で移住してきた齋藤愛さん。4人の子どもを育てながら、自宅の半棟分を活用して、様々な教室やクリエイティブなイベントをおこないながら、高齢者の多い地域住民や地域内外の方の交流拠点となれるようマルシェなどを開催しています。呉市には縁もゆかりもなかったのに、これまで暮らしたどの地域よりも愛着が湧いているという齋藤さん。その理由を聞きました。

呉に移住した経緯を教えてください。

もともとは広島市出身で、東京で設計とカフェの仕事をしていました。学生時代に店舗設計を学んでいて、接客のバイトもすごく楽しかったことから、いつかは自分で設計したカフェを開きたいと考えていたんです。2014年に広島市に戻ってきてからは、建築設計事務所でバックオフィス担当として働いていました。その間もカフェ開業の夢は持ち続けていたんです。でも、子どもが生まれるなど自分のライフステージが変化するにつれて理想のカフェ像もどんどん変わり、どんな店をやりたいのか、そもそもなぜカフェをやりたいのかも分からなくなってきちゃって。

そこで一度すべて削ぎ落して見えてきたのが、私は「人が喜んでくれること」「周りの人が活躍してくれること」「人と人を繋げること」が大好きだということ。この3つができるなら、カフェという形にこだわらなくてもいいと気付いたんです。いずれにせよ、やりたいことを実現できる場所が必要だ!と考え、当時住んでいた広島市牛田地区をはじめ、田舎が好きなので呉市や江田島市も視野に入れながら家探しとテナント探しを始めました。そのときに不動産サイトで見つけたのが、宮原地区室瀬町の団地に建てられた今の家です。

京都の数寄屋大工さんが手がけたという庭付きの日本家屋に、私も夫も一目惚れでした。もともとは呉市内の病院の医院長先生の邸宅で、住居部分と客間部分に分かれていて、客間には本格的な茶室と茶庭があります。ここでなら家族みんなで暮らしながらやりたいことが何でもできる!と思い、また夫のまた夫の経営している設計事務所の作業スペースにもなる部屋や書庫もあることから、購入を決めました。2021年3月末に引っ越してきて、現在は住居部分に家族6人で暮らしながら、夫は事務所の拠点を呉にも増やして在宅ワークをメインとし、私は客間と庭をレンタルスペース『結わふ』として運営しています。

呉に暮らしてみての感想は?

これまで暮らした広島市、東京、横浜よりも、呉がいちばん「地元感」がありますね。私は広島市出身、夫は大阪出身で、呉には縁もゆかりもありませんでした。それなのにすごく愛着が湧いているんです、いい街だなあって。れんが倉庫や海沿いの芝生広場、船が出入りする港など、横浜にも少し似ているなと感じますね。本当に景色の良い街だと思います。

休山(やすみやま)沿いに作られた宮原地区には、「上道路(うわどうろ)」と呼ばれる見晴らしのよい平坦な道があります。地域の人々もよく散歩している道で、ここから見える夕日が本当にきれいなんですよ! 光と影の位置が毎日違うから、美しい光が見えたら何をしていても手を止めて眺めに行っちゃいます。空の色に染まる海、自衛隊の艦隊やフェリー、造船所のクレーン群という呉らしい風景が眼下に広がる上道路は、身近な観光名所。だから友達が遊びに来てくれたときはいつも、この道を一緒に散歩するんです。でも地元の方々は、この景色のすばらしさを伝えても「そうかねぇ?」とピンとこないみたいで(笑)。呉の人が、呉ならではの良さに気付いていないのはもったいないな~と思っちゃいますね。外の街から来た者として、呉の魅力を当たり前のものとせず、いろんな魅力に気付けるようにしていたいです。

地域の方々のあたたかさも、街に愛着が湧く大きな理由です。都会だとご近所同士であっても話しかけるのを躊躇してしまいますが、ここではみんな「こんにちは」と挨拶を交わし合っています。若い世代が移住してくることを歓迎してくれて、子どもたちをやさしく見守ってくださって、ありがたいですよね。私たちも、一人暮らしのおじいちゃん、おばあちゃんたちにできるだけ声をかけるようにしています。

暮らしてみて不便に感じることや困ったことはありますか?

買い物するところはすぐ近くにあるし、不便に感じることは特にないですね。『ゆめタウン』(広島県のローカル商業施設)のヘビーユーザーです(笑)。フットワークは軽いほうなので、呉以外の市町に出かけることも多いですね。

困ったことは…、う~ん、ぱっと思いつかないけれど、呉の他のエリアと比べると街灯が少ないことかな。子どもの帰宅が遅くなるときなどはやはり心配です。それと、イノシシが人里に出没することが全国的な問題となっていますが、このあたりも例外ではなくて。近くの川尻地区には猟師さんがいるそうですが、ここは住宅街なのでなかなか手出しできないのが現状です。

お子さんたちの呉での生活はいかがですか?

高校生の長男、中学生の長女、小学生の次女、保育所に通う三女(※2024年6月時点)の4人とも、呉での生活をエンジョイしています。引っ越すときも「知らない場所に行くのは不安…」ということはなかったですね。三女はもうすぐ2歳で、こちらに移住してきてから生まれた子です。

長男は呉に移住したタイミングで大崎上島の中学校に進学して、島で寮生活を送っていたんですよ。「呉でいろいろ体験したい」という本人の希望から、今は呉市内の高校に通っています。こちらで友達もできて、部活だったり、仲間とのテスト勉強やお出かけが楽しいようです。

長女は吹奏楽部でがんばっていますね。彼女の入部当時は部員が少なかったのですが、みんなとっても楽しそうに演奏して、会場をすごく盛り上げたことがあったんです。それをきっかけに入部希望者が増えて、さらにやりがいが生まれているみたいです。

次女が通っている小学校は、全校生徒数が広島市で通っていた小学校の1学年分(笑)。生徒が少ない分、みんな幼なじみのように仲が良くて。親御さんたちはみんなで地域の子どもたちを育てているという感じですね。転校生であるうちの子たちのことも、あたたかく迎え入れてくださいました。以前の小学校は人数が多すぎてグラウンドで走ることができなかったのですが、「今の学校は思いっきり走り回れる!」と喜んでいます。

『結わふ』の活動内容について教えてください。

『結わふ』では2023年3月、地域の皆さんにも楽しんでもらえる場所にしたいとの想いから初めてのマルシェを開催しました。引っ越しのご挨拶の段階で、ご近所の方々や自治会長さんにはこの家でやりたいことをお伝えしていましたね。宮原地区の住民は高齢の方が多く、インターネットやSNSでの告知だけでは情報が届かないと思い、イベントチラシにお手紙を添えて、団地内の住宅に一軒ずつポストインしました。

当日はSNSなどを見た市内外の方々をはじめ、「チラシを見たよ~」とご近所さんたちがたくさん来てくださって、うれしかったですね。今でもイベントのたびに、宮原地区にはポストインで告知しています。多いときは1,000枚くらいチラシを配り歩いていますよ(笑)。その甲斐あって『結わふ』に遊びにいらしてくれるご近所さんが増え、杖をついたおばあちゃんたちが声をかけ合って5~6人で来てくださることも。「歳を取って遠くには行けなくなったけれど、ここになら来られる」という声を聞き、これからも地域の集会所としての役割を果たしていきたいと改めて思いました。コロナ禍でなくなってしまった餅つきやそうめん流しなど、地域の子どもたちが楽しめる行事もやりたいなと考えています。

『結わふ』では地域交流の場づくりと並行して、市内外のアーティストを招いた作品展やワークショップなど、クリエイティブな企画もおこなっています。市外や県外の人が呉に遊びに来てくれるきっかけも作っていきたいなと。目指しているのは、人と人、人とコトが出会って、知らない世界が広がったり、好きなことが増えたりする場所。実際に、出展してくださったクリエイターさん同士が繋がって、別の場所で新しいイベントが立ち上がったこともありました。お茶を飲みながらアーティストの想いに触れて、ゆっくり過ごしてもらいたいですね。

今後、呉でやってみたいことはありますか?

『結わふ』では引き続きご近所さんに楽しんでもらえる企画をおこないながら、ゆくゆくは民泊も始めたいと考えています。また、移住当初から夫婦で呉のまちづくり活動や市主催のリノベーションスクール、地域のお祭りなどに設計士の立場から携わらせてもらっているのですが、それが楽しくて! 夫とは「呉に移住してきた意味があったね」とよく話しているんです。

特にリノベーションスクールは、市内の空き家や空き店舗を財産と捉えている素敵な取り組み。これからも空き物件の活用方法や、呉で何かやりたい人の相談を受けるなど、もっとまちづくりに関わっていきたいです。呉だけでなく、これまで繋がってきた市内外の方々とも手を取り合いながら、広島県全体を盛り上げることができたらいいなと思っています。他の地域と「競争」するのではなく、「共創」していきたいですね。

移住を検討している人にメッセージをお願いします。

私たちが住んでいる宮原地区はもちろん、商店街の方々もあたたかくて、地域をとても身近に感じられるのが呉の良いところ。地域のことを「自分ごと」として考えられる楽しさがあります。移住者を受け入れて応援してくれるので、挑戦しやすい街でもありますね。呉に住み始めてからやりたいことができたという人もいらっしゃいますよ。

それから、起業や移住の支援が充実しているところも魅力です。私たちも行政の起業家支援プロジェクトや、呉信用金庫の創業支援制度を活用しました。また移住の際は、市が住宅の購入費用を一部助成してくれる制度や、子育て世帯に向けた助成金を受けました。隣の広島市から移住するだけでも金銭的サポートを受けられるのはありがたかったですね。

そして子育て世帯にとって心強いのが、市のファミリーサポート。呉は自衛隊として働いているお母さんが多いため、夜間サポートも手厚いと聞きました。私も仕事に集中したいときに利用させてもらいました!さまざまな支援制度をうまく活用できれば、移住へのハードルも少し下がるかもしれません。


齋藤さんの おすすめスポット

【休山の上道路から見える景色】

毎日表情を変える夕焼けには飽きることがありません。家が密集した宮原地区の町並みもおもしろいです。

【街かど市民ギャラリー90】
れんがどおり商店街にある、古い鞄屋さんを活用したギャラリー。コンクリート造りで、段差をつけた建築がカッコイイ!入場無料です。

【入船山記念館】
和と洋が混ざり合った素敵な場所。豪華絢爛な金唐紙に感動します! 年に一度、館内の歴史ある椅子に座ったりできる日があります。

齋藤 愛さんの記事

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