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移住者インタビュー

「受け入れ上手」な呉は、好きなことに没頭できる街

春高 智子さん

2013年 東京都 → 呉市中央
広島県呉市出身  Uターン
ほんまる珈琲 Gallery中通ヘテロトピア 店主

interview:2024.08.23

呉中心部にある呉中通商店街でかつて祖母が営んでいた喫茶店を引き継ぎ、カフェギャラリー『ほんまる珈琲 / Gallery中通ヘテロトピア』を開店した春高智子さん。学芸員資格を持つ彼女のお店には、呉をはじめ瀬戸内で活動する作家の作品が展示され、手作りのランチやスイーツを味わいながらアートな空間に浸ることができます。春高さんは「受け入れ上手で情に厚い呉は、表現活動をしたい人にもおすすめの街」と話します。その理由を聞きました。

呉に移住した理由を教えてください。

実家は呉の本通にあり、商店街で育ちました。東京の大学に進学し、東京で就職したのですが、地元で祖母の介護をしている母が気がかりで…。私が帰って、母の話し相手になるだけでも心が楽になるんじゃないかなと思っていたんです。また、「東京で一生暮らしたくはないな」と思い始めた時期でもありました。当時は独身でしたが、育休を取っていた職場の先輩を見ていると、東京で子育てするのは大変そうだと感じて。2013年に、2年間働いた会社を辞めて呉にUターンしました。

お店を開業した経緯と、お店の特徴を教えてください。

中通り商店街にあるこの場所ではもともと、曾祖母と祖母が長年喫茶店を営んでいました。2階建ての店で、全盛期はモーニングに100人ほどのお客さんが訪れていたそうです。私も幼稚園から帰った後は、毎日祖母の喫茶店に遊びに来ていました。常連さんや近隣のお店の方など、いろんな人が声をかけてくれて、可愛がってくれたのを覚えていますね。

私が呉に戻る少し前に祖母は店を畳み、ここは空き店舗となっていました。呉にUターンした時点で、ここで喫茶店をやることは決めていて。広島市内の老舗喫茶店で2年間修業し、また呉市の「来てくれ店舗公募事業」に応募して内装費の補助を受け、2015年にギャラリーカフェ『ほんまる珈琲 / Gallery中通ヘテロトピア』をオープンしました。

昔からアートに関することがやりたかったんです。大学では美術史を専攻し、学芸員の資格も取得しました。祖母の喫茶店で窯元のコーヒーカップに囲まれて育ったのもあり、器がとくに好きですね。地元作家さんの作品を紹介できる場があったらいいなと思い、ギャラリーでは呉をはじめ瀬戸内で活動するアーティストの作品を展示しています。

常設展示だけでなく、作家さんの個展や企画展も開催しています。カフェスペースでは手作りの週替わりランチや季節の果物を使ったスイーツなどを提供しているので、おいしいものを味わいながら、のんびり作品を見てもらえたらうれしいです。ねんね期から利用できるキッズルームや授乳室も備えていますよ。

移住前・移住後で変化したことは?

呉に帰ってきて感じるのは「東京では緊張しながら生きてたんだな」ということ。当時は都内から電車で30分ほどの街に住んでいて、始発駅の電車に乗れば席に座れるとか、そういうことを計算しながら日々出勤していました。常に早歩きで、どこへ行くにも最短ルートを選んで移動していましたね。今は家と職場も近く、東京時代のように焦ったり、緊張したりする場面はなくなりました。肩の力を抜いて暮らすことができています。

呉の好きなところは?

ギャラリーの名前にしている「ヘテロトピア」とは、現実世界に存在する「他なる場所」を指す言葉。この概念を提唱したミシェル・フーコーによると、美術館や庭園、船などがそれに当たるそうなのですが、私は呉市全体がヘテロトピアのように感じていて。呉は普段の自分を忘れて、好きなことに没頭できる街だと思うんです。呉がロケ地の映画がたくさんあるのも、日常とはちょっと違うところにいざなってくれるような、特別な魅力があるからじゃないかなと思います。

熊本県出身の夫は、呉では趣味の自転車に没頭できると話していました。都会と違って、呉は早朝なら車も人も少ないので走りやすく、足を延ばせば安芸灘とびしま海道で絶景サイクリングができます。とびしまエリアで開催されるサイクリング大会やトライアスロン大会など、目標となるイベントがあるのもモチベーションに繋がるようです。

呉での子育てはどうですか?

呉で結婚して、今は2人の子どもがいます。私たちが暮らしている呉の中心市街地は、ギュッと密集していて子どもの数も多いのに、保育園の選択肢が豊富なんですよね。市が空いている園を教えてくれるので、「どうしてもこの園に入れたい!」という希望がないのであれば入園待ちをすることもありません。

それぞれの保育施設に特色があって、上の子は第1希望が通り、非認知能力を伸ばす教育を取り入れた私立の保育園に入ることができました。体づくりのための体操などに力を入れており、子どもも楽しく通っています。下の子は公立の乳児保育所に通っていたのですが、ここがすごく良くて! 施設は古いけれど、ベテラン先生ぞろいで安心して預けられます。園庭に畑があって、芋掘りをしたり、畑で採れた野菜が給食に使われていたりするところも個人的にはうれしいポイントです。

乳児保育所の周辺は自営業が多いエリアで、お散歩のときに親がやっている店の前を歩いてくれることもあるんです。うちの子は1歳からお世話になっていますが、もっと早くからでも入所できるそうで、働く子育て世帯にとっては頼もしいですよね。

実家が近いので、市の子育てサポートはあまり利用していないのですが、子どもは18歳まで月4回・1日500円で病院を受診できるのはすごく助かります。入院が必要となったときも、国立病院などの大病院があるため迅速に対応してもらえます。また呉には陣痛タクシーやママサポートタクシーがあり、出産時に利用しました。事前に登録したら夜中に陣痛が起きたときにすぐ来てもらえてありがたかったですね。一人で乗っていた私を運転手さんが助けてくれて、「料金なんて後でいいから!」と人情味のある対応をしてくださいました。

それから、呉中心エリアの『つばき会館』で開かれているこども食堂にも行ったことがあります。スタッフの皆さんが優しくて、子どもが食べやすい野菜料理を品数豊富に提供してくださっていました。

移住を検討している人に伝えたい、呉の魅力は?

昔から自衛隊の人がやって来る土地柄から、呉市民は「受け入れ上手」ですね。よそから来た人が好きで「どっから来たん?」と気さくに話しかけるけど、あれこれ詮索はせず「ほうね~!」「がんばっとるねぇ」で終わり。その距離感がイイですよね。私もお店に2~3回来てくださったお客さんは顔を覚えるので、つい話しかけちゃいます。うちだけでなく、どこのお店の人もそうだと思いますよ。だから、たとえ一人で移住してきたとしても、孤独感はないんじゃないかな。県外から引っ越してきたお客さんも「細かいことを聞かれないから呉は居心地がいい」と話していました。

出産のときお世話になったタクシーの運転手さんや、地域の子どもたちのためにこども食堂を運営している方々のように、呉は「困ったよ」と言ったら誰かが助けてくれる街。だから、移住を考えている人には「迷っとるなら、とにかく来んさい!大丈夫じゃけぇ!」と言いたいですね。呉には人、場所、食、自然のすべてが揃っているので、どうにでもなります。市役所の職員さんも“呉愛”が深くて親切ですし。

また、表現活動がしたい人にも最適な土地だと思います。受け入れ上手な呉は新しいモノを発表しても怒られないし、陶芸にしても絵画にしても「こうしなければいけない」という流派やジャンルがないので自由に創作できます。作品を置く場所はココにあるし、街なかでライブペイントをすれば都会よりも断然目立つ。そして、人情ある地元の人たちが作品を買って応援してくれる…。アーティストにとって、呉はチャンスにあふれた街なんです。

今後の展望は?

地元の若い世代に「呉に住み続けたい」「いつかはUターンしたい」と思ってもらうために必要なのは、幼少期の楽しい体験や幸せな記憶じゃないかと思っていて。だから大人になって「呉って良かったよね」と思い出してもらえるような体験を提供したいんです。クッキーづくり体験やアート系ワークショップなど、カフェギャラリーならではの企画を考えていきたいですね。過去には中通り商店街で地元作家のライブペイントと地元高校吹奏楽部の演奏のコラボイベントを開催したほか、呉の街なかを舞台にした『呉まち芸術祭』にも展示会場として参加しており、そういったアートイベントを今後もたくさん行いたいです。

そして、若い子たちがせっかく帰ってきてくれたのに街が衰退していたら申し訳ないので、帰省したら必ず行く「地元のおいしいごはん屋さん」が一軒でも多く残れるよう、うちを含め、今あるお店が粛々と頑張っていかなければいけないなと思っています。


春高さんの おすすめスポット

【アレイからすこじま】
潜水艦がたくさん停留している港は、呉ならではのスポットだと思います。周辺にはレンガ造りの倉庫が建ち並び、昔の栄華を感じますね。

【中通商店街】
肉、魚、野菜や果物の専門店。海軍さん御用達の老舗から新店まで、リーズナブルで質の良いお店が揃っています。何と言っても美味しいお店が多い!呉市民は舌が肥えています。

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