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移住者インタビュー

「草刈り」から始まるご縁。オリーブとハーブで島の恵みを引き立てる

Isola Essentials 代表
長澤 修さん

2016年 呉市→神奈川県→呉市音戸町
呉市出身 Uターン
Isola Essentials 代表
家族2人(妻)

interview:2025.09.11

倉橋島の北部に位置する音戸町。「音戸大橋」「第二音戸大橋」で呉市の本土とつながっており、JR呉駅までは車で約20分の距離。江田島市とも橋で往来することができます。

神奈川県から呉市にUターン移住した長澤修さんは、音戸と江田島を行き来しながらオリーブとハーブを栽培・加工・販売する6次産業に取り組んでいます。畑を始めるにあたり、「草刈り」から地域でのご縁が広がったという長澤さんに、仕事や暮らしについて伺いました。

移住の経緯は?

幼少期は海沿いの呉市若葉町で、海を眺めながら育ちました。小学校から高校までは焼山の団地で暮らし、高校を卒業してからは東京の専門学校へ。その後は神奈川県に18年間住み、首都圏で音響の仕事をしていました。とくに10年続けたブライダルの音響の仕事はとても楽しく、新郎新婦を音楽でサポートすることは大きなやりがいでした。
 
夏季休暇などは呉に帰省していました。やはり生まれ育った風土はしっくりくるし、両親が暮らす音戸町を訪れるたび、島ならではの景色やゆったりした時間に魅力を感じていたんです。いつかは戻ってきたいと思いつつ、少子高齢化が進み首都圏よりも人口の少ない広島県に音響の仕事がどれくらいあるのか?どう生活していけばいいのか? 正直イメージが湧きませんでした。

転機となったのは、2011年の東日本大震災です。
3月11日は横浜駅で地震に遭い、身動きが取れなくなってしまって…。
そのとき、「ここで死にたくない」と強く思ったんです。

また、同じころに江田島産のオリーブオイルの試作品をいただく機会がありました。
ものすごくおいしくて、「地域貢献にもなるし、これを自分でも作れたら最高だな」と思いました。

すると、オリーブを摘みながら海を眺めている自分の姿が自然に浮かんできたんです。
「どこかに弟子入りしよう」と決めて、音戸の実家にUターン移住しました。

移住後の働き方について教えてください。

まず江田島市で、オリーブのアンテナショップのオープニングスタッフとして働き始めました。関東での飲食店経験を活かし、地元食材やオリーブオイルを使ったメニューの開発にも力を入れていました。

物販の仕入れを任されるようになると、生産者さんを訪れる日々が楽しくて。話が盛り上がって、なかなか帰してもらえないんです(笑)。さらにおみやげまで持たせてくれて、そうした距離感の近さに「なんてすばらしい世界なんだ!」とうれしくなりましたね。

1年半ほど勤め、オリーブや地産品について学ばせてもらいました。自分でオリーブ畑をやるために2018年に退職し、畑探しを始めました。知り合いの紹介で、最初に江田島に借りた畑は面積が狭く、オリーブの木を5本ほどしか植えられなかったんです。

それでも耕作放棄地となっていた畑をコツコツと整えていたら、ご近所さんに「うちの土地も貸してあげるよ」と声をかけてもらえて。こうして徐々に作付面積も増え、現在は江田島市内で約40本のオリーブを栽培しています。

栽培のノウハウは退職後の半年間、いろんなオリーブ畑で作業を手伝いながら、先輩農家さんたちに質問して学んでいきました。けれど、自分がオリーブ農家だけでは生活できないことはわかっていました。自宅のある音戸でも何か事業をやろうと考えたとき、思いついたのがハーブ栽培。音戸でも農地を借りて、ハーブ畑を始めたんです。

6次産業で地域貢献がしたいとの思いから、採れたての果実を搾油したオリーブオイルをはじめ、島々で育てられた果物と自社栽培のハーブを使ったジャム、ハーブティーなどの加工品を製造・販売する自社ブランド〈Isola Essentials(イソラ・エッセンシャルズ)〉を運営しています。

最初は江田島のシェアキッチンで加工品を製造していたのですが、音戸の畑の貸主さんから空き家を紹介していただけることになり、現在はそこを事務所兼工房として利用しています。その後、他の方からも農地を託してもらい、音戸でもオリーブ畑を始めることができました。

オリーブオイルやハーブは、掛け合わせ次第で可能性がどんどん広がる商材。広島県内の農家さんが育てた果物や野菜、漁師さんが獲った魚と合わせることで新たな魅力を引き出し、地域産品の価値を高めたいと考えています。

心がけているのは、島の風景が見えてくるような商品づくりです。田舎発のブランドだからこそ、デザインやアイディアを洗練させています。その上で「おしゃれな食やライフスタイルの背景には農家さんたちの地道な作業がある」ということを伝え、そこに価値を感じてもらえる商品を開発していきたいですね。

移住後のライフスタイルは?

現在は音戸で結婚し、夫婦二人暮らしをしています。この秋には、ご近所さんの紹介で賃貸の一軒家に引っ越しました。お互いの実家もあるので、持ち家を増やすより賃貸のほうが合理的だろうと判断したんです。

仕事は6次産業が中心で、夏はSUPのインストラクターとしても働いています。近年の酷暑では昼間に畑に出るのは難しいため、夏場は朝と夕方の涼しい時間に畑へ行き、日中は江田島でSUPを教えるというスタイル。こうした島ならではのリズムのある暮らしを、心から気に入っています。海で出会った人がオリーブの収穫を手伝ってくれたり、ジャムを買ってくれたりと、本業につながるご縁が生まれることもあるんです。

関東から呉に移住して感じる変化は、人との距離が近くなったこと。都会は人が多いけれど、街ですれ違う一人ひとりがどんな人かは分かりません。でも今は、ご近所さんと世間話をしたり、野菜をおすそ分けしていただいたら自分の商品をお返ししたり、そんな温かな交流が日常となっている。それがとても心地良いんです。

旬の食べ物が食卓にのぼることも、毎日の小さな喜びです。頑張ってそうしているわけではなく、ここではそれが普通のこと。もちろん「たまには家系ラーメンが食べたいな」と思うこともありますし、好みの服や靴を買える店が少ないので物足りなさもあります。でも、私は都会の生活に疲れて移住したわけではないので、田舎と都会のどちらも違った魅力があるとフラットに受け止めています。

地域との関わり方で大切なことは?

まずは挨拶ですね。「こんなことをやってみたい」と夢を描いている移住希望者は多いと思いますし、呉はチャレンジできるまちです。ただ、自分の気持ちだけで動くのではなく、地域の方にきちんと挨拶して自分からコミュニケーションをとっていくことが大切です。

それから、私が強く実感しているのは「田舎の関係づくりは草刈りにあり!」ということ。荒れていた農地の草をひたすら刈り、きれいな畑に再生している姿が「この人なら大切な土地を貸しても大丈夫だ」という信頼につながり、空き物件や農地を紹介していただくことができました。

最初は勝手が分からず、借りた畑の石垣を崩し、貸主さんから組み直すようにとお叱りを受けたこともあります。
貸主さんの土地に対する思いを軽んじていたかもしれないと反省し、すぐに謝罪して修復したところ、「一人でよう直したなぁ」と言ってくださり、そこから仲良くなれました。

田舎での人付き合いは、特別なことをする必要はありません。
挨拶と草刈り、そして思いが食い違ったときには誠実に向き合うこと。
この3つを意識するだけで、良い関係が築けるのではないでしょうか。

呉の好きなところは?

夕日の美しさですね。音戸からも呉駅周辺からも夕景色が見えて、呉は「夕日に照らされているまち」だと感じます。太陽が沈みかけて紫色に染まった空は、いつ見ても心を動かされます。

それから呉ならではの面白さは、蒲刈の島々や倉橋島など、それぞれの島が独立して魅力を放っていること。その島ならではの景色や産品、人がいて、それに惹かれた人が集まってくる。独立しつつも、私たち世代は「同じ呉に暮らす仲間」という意識があり、移住者を受け入れる懐の深さも感じます。

〈イソラ・エッセンシャルズ〉としては蒲刈のレモンや江田島のオリーブ、宮島(廿日市市)のハチミツを商品に使うなど、自治体の区切りをこえて、瀬戸内の島々を渡り歩く存在になりたいと思っています。瀬戸内はどこの土地も魅力にあふれていますから、ボーダーレスに魅力を発信していきたいですね。

音戸の住環境についての印象は?

音戸では、高齢の親から相続した家を手放すか迷っている世帯が多い印象があります。そのため数年後には空き物件も増え、移住者にとってより家探しをしやすくなるかもしれません。町内の波多見小学校は活気があり、島で子育てしたい人にも向いているのではないかと思います。市内中心部にも出やすく、呉は医療や福祉が整っていて製造業も元気なので、市街地で働きながら島暮らしすることも可能です。

今はベッドタウンとして発展した音戸ですが、昔は畑をやる人もたくさんいて、農地もあります。だからこそ農業をやりたい人は歓迎されると思います。広島市内から人気カフェが移転して賑わいも増えつつありますが、「ここで商売をしたい」という人がもっと増えて、地域が盛り上がっていくとうれしいですね。

今後の目標は?

今の暮らしにはとても満足していますが、事業者としてはもっと頑張らなければいけないと感じています。収益は少しずつ伸びているとはいえ、今の自分の働き方を人に「やってみたら?」とすすめても、子どもがいる家庭の家計を支えられるかといえば、難しいのが現状です。

だからこそ、収穫量や商品数をさらに増やし、売上をきちんと伸ばしていきたい。移住者のひとつの「模範」と言われるようなレベルまで、事業を高めていくことが目標です。


長澤さんのお気に入りスポット

【大浦崎海岸】
音戸町波多見にある海岸です。穏やかな海をピンクやオレンジ、黄色に染める朝焼けが本当にきれいで、早朝、オリーブの収穫に向かうときに車から眺めるのが楽しみなんです。こんなにも素晴らしい景色が日常にあることは、移住して良かったと思う理由の一つです。

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