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呉線で通った三日間。「いつか住みたい」を体験した話

呉中心エリア
ライター いけちゃん

はじめまして。
大阪在住、呉市大好きな「いけちゃん」です。

2023年12月に初めて旅行で訪れてから、気づけばこれまで10回以上も呉へ足を運んでいます。

毎回訪れるたびに、好きが増していく呉の街。
いつしか私も、「ここに住みたい」と思うようになりました。

だけど、移住するとなると現実はそう簡単ではありません。

住む場所はどうする?
仕事はどうする?
生活はどんな感じなんだろう?

考えれば考えるほど、現実的な壁が見えてきます。

そんな中、この度広島にある企業で、三日間のお仕事体験をさせていただく機会に恵まれました。

「これはもう、呉から通うしかないやんか!」

ということで今回は、「呉線で三日間通勤してみた話」をお届けします。

駅の看板がカッコイイ!

「海色の歴史回廊」という言葉もカッコイイ!この写真は桜の時期に訪れたとき。


「雨が降ると呉線は止まる」

呉線について、そんな話を聞いたことがあります。

海と山に挟まれた地形を走り、単線区間もある呉線は、天候などの影響によって止まりやすいのだとか。

初めて乗ったときも、電車の行き違いのために数分停車していたことがありました。

予定日の1週間前も、西日本は梅雨前線や台風の影響で天気は大荒れ。
毎日天気予報とにらめっこ状態でした。

もしかしたら呉どころか、広島にも辿り着けないかもしれない。

2018年に起きた西日本豪雨のことも思い出し、大好きな街が無事なのかとても心配でした。

最悪、私が行けなくてもいい。
だからどうか何事もありませんように。

そんな気持ちで迎えた出発当日。
結論から言うと、「呉線での三日間通勤」は…

本当に最高でした!

「やっぱ好きやねん!」と思った帰り道

反則級の美しさとはこのこと。

車窓から見える呉の街。

出発当日は天気にも恵まれ、降り続いた雨も落ち着いています。

遅延や運休もなく、無事に呉に到着。

そして迎えた、念願の呉から広島までの通勤です。

実はこのとき、私は楽しみにしていたことがありました。

それは、車窓から見える瀬戸内海の景色です。

「今日はどんな景色なんだろう。」

そう思いながら席に座った……はずなのですが。

見事に爆睡。

目が覚めた頃には、景色の大半を見逃していました。

何をしてるんや、私は。

ドキドキの企業体験初日は、楽しくて時間が経つのがあっという間。

でも、とっても疲れたーーー。

慣れない環境と初めましてのコミュニケーション、私は一日中とても気を張っていたんだと思います。

職場で飛び交う広島弁も、憧れていたはずなのに、どことなく落ち着かない。

そして、自分の力のなさや不甲斐なさを思い知り、メンタルも落ち込み気味です。

正直、胃も痛い‥‥

そんな心身ともにボロボロになった帰り道。

呉線に乗ると、広島の街並みが少しずつ遠ざかり、次第に広がる海と島々が見えてきます。

その美しい景色の先には、呉の街があるんだなと思うと、張り詰めていた心と体がゆっくりほぐれていくのがわかりました。

このとき、私の頭の中ではあの名曲が…

「やっぱ好きやねんっ!」

呉への想いは、そんなメロディーが自然と流れるほどです。

穏やかな海と太陽の光が反射してきらきらと光る波、そしてその向こうに見える大小の美しい島々。

初めてその静かな海を見たとき、「まるで琵琶湖のようだ」と感動したのを覚えています。

そのずるいくらい美しい景色は、一瞬で私の心を掴み、「ここに住みたい!」と思わせてくれました。

呉線から見える景色は、私に安心とパワーを与えてくれるんです。

車内で、地元の人とそうじゃない人の見分け方ってなんだかわかりますか?

私は、「窓から景色をめっちゃ見てる人」がいたらそれは地元民ではないのだろうと思っています。

この日も、食い入るように窓からの景色を見つめている人がいました。

この方もきっと瀬戸内海の美しい景色に魅了された人なのだろうな。

そして呉の街が車窓から見えた瞬間、背中からでも伝わる「わっー!!」という高揚感。

駅に到着すると、ニッコニコの笑顔で降りていきました。

その気持ち、私もとてもわかるんですよね。


安芸津駅にあった「呉線鉄道唱歌」

歌詞を読むだけで呉線に乗って旅をしている気分に

安芸津の港から見える海。

少しだけ通勤にも慣れてきた、二日目。

「私、いま呉から広島へ通勤してるんだ。」

少しウキウキした気分で呉駅へ向かうと。

なんと、発車ギリギリーーーー!!!

慌てて走ったものの、見事に乗り過ごしてしまう鈍臭さ。

せっかくなので、コンビニでコーヒーを買って、次の電車を待つことにしました。

レジで店員さんと何気ない会話をしたり、焦って乗るより、こういう時間も緊張した心をほっと解いてくれます。

乗り遅れたものはしょうがない。

大丈夫。

時間にはまだ間に合います。

「大阪の人は歩くのが速い」

どこかでそんなことを聞いたことはありませんか?

関西で暮らしていると、気づけば早足が当たり前。
徒歩30分の道も、15〜20分で歩いてしまうことがあります。

日々の日常で鍛えた「早歩き」のおかげで、乗り過ごしても遅れずに現地に到着。

着いたときは汗だくなんですけどね笑

そしてこの日の最後は、スケジュールの関係で安芸津駅から呉へ帰ることになりました。

安芸津とは、呉駅から瀬戸内海を東に進んだところにある、港と酒蔵の街。
(港に行くと潮の香りがして、街並みもどこかノスタルジックでとても素敵な場所でした!)

仕事を終え駅に着いてみると、電車が来るのは約1時間後。

普段なら「長っ!」と思ってしまう時間です。

でも、この日は不思議とそうは思いませんでした。

駅で待っていると、待合室に「呉線鉄道唱歌」が掲示されています。

作詞をされた浦田武夫さんの言葉によると、
「絵に描いたような美しい景色を通る呉線、その紹介ができれば」
との思いでこの歌が作られたのだとか。

唱歌をのんびり読んでいると、あっという間に時間が過ぎていきます。

「電車を待つ」のではなく、「駅で過ごす」。

そんな時間の流れが、とても心地よく感じられました。

そして、広島に通勤してみて、ひとつ驚いたことがあります。

それは私がこの三日間で出会った広島の人は、本当に優しかったなということ。

例えば、細い道ですれ違うときも「我先に通る!」という人はいなかったのです。

皆「どうぞ」と立ち止まって道を譲ってくれました。

その優しさに私はとても感動し、反対に急いで焦って余裕がない自分が、猛烈に恥ずかしくなりました。

「急がなくても大丈夫。」

そんな優しい空気が街全体に流れているようでした。

今日は島が見えん日。

雨の多島美。

最終日、また今度ね。

無事に来てくれてよかった。

三日目は、初めての雨の日。

実は、呉にはこれまで10回以上訪れていますが、雨の呉を過ごすのは今回が初めてです。

三日目ともなると、通勤にもすっかり慣れたようです。

バタバタ走ることなく、いつもの電車へ向かいます。

ホームでは、「この位置で待っていたらスムーズに乗れる」という感覚もわかってきました。

「今日で、しばらくこの景色ともお別れか。」

そんなことを思いながら電車を待つ時間。

ちゃんと電車が動いているかなと少し心配でしたが、無事に時間どおり到着。

雨の日も遅延なく走ってくれたことに、心の中で「ありがとう」と伝えます。

電車に乗ると、窓の外に広がる景色が、晴れの日とはまるで違う表情を見せてくれました。

瀬戸内海も島々も、灰色の雲に覆われて少し霞んでいます。

すると、隣に座っていたご夫婦がぽつりと一言。

「今日は島が見えんね。」

その何気ない会話が、とても印象に残りました。

私にとっては特別な景色でも、この人たちにとっては毎日の景色なんだなって。

海と島が日常にある暮らしって、なんて素敵なんだろう。

そんなことを思いながら、私も彼らと同じ景色を眺めていました。

「もし呉線が、どんな天気でも遅れず、もっと便利になったら?」

立地の影響を受けない地下を走るようになったら、便利だけどそれはそれで寂しい気もします。

車窓から見える海や島の景色を眺める時間は、私にとっては特別な時間なのです。

そして、「今日は島が見えんね」と話す人たちの日常も。

そのすべてが、私の心を少しずつ丸くしてくれる。

だから私は、また呉へ帰りたいって思うんです。

たかだか三日間だけでは、呉のことなんて何もわかってないのかもしれません。

暮らせば、大変なことだってきっとあるでしょう。

それでも私は、この街をもっと知りたい。

いつかこの景色を「特別」ではなく、「日常」と呼べる日が来ますように。

そんな夢を抱きながら、大阪へ帰ります。

また呉線に乗れる日を楽しみに。

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