2024年、海上自衛隊呉地方隊は創設70周年を迎えました。呉地方隊は、日本の海上防衛において極めて重要な拠点であり、戦後の安全保障の中核を担ってきました。戦艦「大和」の建造地として知られる呉は、旧日本海軍の主要拠点であり、戦後は海上保安庁の拠点を経て、1954年に海上自衛隊の地方隊として再編成されました。
呉地方隊の70年の歴史は日本の防衛政策と密接に関係しています。特に冷戦時代の対潜戦強化、機雷掃海能力の向上、近年では特に世界中で多発する災害に対しての災害派遣や国際平和活動など、時代の変化に応じた任務の進化が見られます。現在も、護衛艦・潜水艦・掃海部隊や支援艦艇が多数配備され、最前線で活動を続けています。
2024年は呉地方隊創設70周年を記念し、呉市民との交流を深めるために様々なイベントが開催されました。
呉市は海上自衛隊と強い結びつきを持つ街であり、こうした記念行事を通じて、市民と海上自衛隊のつながりを再確認する貴重な機会となりました。
久しぶりの体験航海に胸アツ!
2024年10月13日には、「呉地方隊創設70周年記念体験航海」が実施され抽選に当選した多くの方が実際に海上自衛隊の艦艇に乗艦し、航海を体験できる特別な機会となりました。
当日は見事な秋晴れとなり掃海母艦「ぶんご」を旗艦とし、呉地方総監・福田海将の指揮のもと、補給艦「とわだ」、訓練支援艦「てんりゅう」、護衛艦「とね」が参加しました。
各艦内では、乗組員の生活や訓練の様子を間近で見学でき、普段はなかなか知ることのできない自衛隊の実態に触れることができました。実際の艦艇に乗り込んで、操艦の様子や海上での任務の一端を感じられる貴重な経験となりました。
コロナ禍で全国のイベントや体験航海が中止となってしまった中での久々の開催に参加者のみなさんも大興奮の1日でした!
掃海母艦「ぶんご」
補給艦「とわだ」
護衛艦「とね」
呉カレー・グルメフェスタ2024
2024年10月14日、海上自衛隊呉基地係船堀地区で大規模なイベントが開催されました。呉市を代表するご当地グルメ「呉海自カレー」をはじめとする海軍グルメが集結し、多くの市民や観光客で賑わいました。
特に注目を集めたのが、「呉海自カレーバイキング」です。このイベントでは、呉基地に所属する艦艇や部隊のカレーレシピを再現した特製カレーが提供されました。22店舗が参加し、限定2,000セットのチケット(4枚綴り1,500円・当日販売)が販売され、来場者は4種類の異なる海自カレーを食べ比べることができました。各艦艇ごとにこだわりのスパイスや調理方法が異なり、食べ比べることで味の違いを楽しめるのが魅力です。
さらに、呉海自カレー以外にも、呉市の人気海軍グルメや地元の特産品が多数出店しました。特に、広島県を代表する新鮮な牡蠣料理や、旧海軍時代から受け継がれる「肉じゃが」などの伝統グルメが登場し、訪れた人々の舌を楽しませました。合計50以上の飲食ブースが出店し、呉ならではの食文化を堪能できる機会となりました。
また、自衛隊の広報ブースも設置され、来場者との交流イベントが行われました。来場者は海上自衛隊の制服を着用して記念撮影ができるコーナーや、自衛隊ファッションショーなど隊員とのふれあい体験を楽しみました。また海上自衛隊呉音楽隊による演奏会も実施され、迫力のある生演奏に多くの観客が魅了されました。
呉海自カレーと自衛隊文化が融合したこのイベントは、市民と自衛隊の距離を縮める貴重な機会となり、呉市の観光振興にも大きく貢献しました。来年の開催にも期待が高まります!
(photo by @hicoki )
呉海自カレー(そうりゅうカレー)
呉海自カレー2024年度出航式
photo by @love.180sx
呉氏と呉地方総監・二川海将(当時)
photo by @love.180sx
空母化改装工事を終えた「かが」や潜水艦にも乗れる!?
呉地方隊創設70周年を記念し、毎週末(土日)、事前応募&抽選なしで、呉基地に停泊している護衛艦や潜水艦が一般公開され、多くの市民や観光客が訪れました。
これまでは事前応募制の抽選での見学となっており、抽選はかなりの高倍率でなかなか当選しなかった艦艇見学会でしたが、予約なしで誰でも見学できるということで毎週大盛況となる企画でした。
見学会では艦艇の甲板や艦橋、居住区などが見学できるほか、隊員たちによる装備や任務の説明も行われ、海上自衛隊の活動に対する理解が深まる機会となりました。中でも空母化改装工事が完了した日本最大の護衛艦「かが」ではそのスケールの大きさに圧倒されながら、日本の海を守るための技術や装備を見学でき日本の防衛力を身近に感じることができました。
日によっては、停泊中の潜水艦の甲板に乗ることができたりとラッキーなことも!
どの艦艇が見学できるかは現地での当日発表なので、ドキドキです!
歴史を感じる呉地方総監部庁舎(旧海軍呉鎮守府)
また呉地方総監部の庁舎も毎週末一般公開され、呉基地の歴史や海上自衛隊の役割について詳しく学べる機会がありました。旧日本海軍の時代から続く呉の歴史と、現代の自衛隊の活動がどのように受け継がれているのかを知ることができる貴重な場となりました。
これらのイベントを通じて、呉地方隊は70年の歴史を振り返るとともに、市民との強い結びつきを再確認することができました。呉市は自衛隊の活動を支え、自衛隊は呉市の発展と安全に貢献する——この関係性が、70周年を機にさらに深まったことは間違いありません。
久しぶりの体験航海が激アツ!
2024年10月13日に開催された「呉地方隊創設70周年記念体験公開」の様子です。