こんにちは。呉が好きすぎて毎月通っている旅するプランナー、市民ライターの艦ちゃんです。
呉市には2004年に公開された映画「海猿」で有名になった海上保安庁の海上保安大学校があります。市内には映画のロケに使われたロケ地もたくさんあり訪れた方もいるかもしれません。
(しかし20年も前の映画なので20代の方に話すと「海猿」ってなんですか?とよく言われます・・)
いつかは見に行ってみたいとず〜っと思っていたのですが、ちょうど新造練習船「いつくしま」が就役して呉に入港するということで、これはもう直接見に行って話を聞くしかない!ということで呉市若葉町にある海上保安大学校に伺いました!
海上保安大学校とは
海上保安大学校は、日本の海上安全と法の執行を担う専門家を育成するための海上保安庁の教育機関です。この学校は、未来の海上保安官を育てるために必要な知識とスキルを提供し、その役割を果たすために特別な教育カリキュラムを持っています。
海上保安大学校は、海上保安官の専門的な訓練と教育を提供するために設立されました。学生たちは、学科と実技の両方で高いレベルの教育を受け、卒業後は海上保安庁での活躍が期待されます。また、大学校では法学や海洋科学など、幅広い分野の知識がカリキュラムに含まれており、学生たちは理論と実践の両面で深い理解を身につけることができます。
海上保安大学校の歴史は1950年に遡り、その設立以来、数多くの海上保安官を輩出してきました。設立当初は、小規模な施設での教育からスタートしましたが、現在では最先端の設備と施設を備えたキャンパスで、多岐にわたる訓練が行われています。特に、海洋環境の保全や海上法執行の専門知識を持つ人材の育成に力を入れており、日本の海洋安全保障の重要な拠点となっています。
また海上保安大学校は海上保安官の育成だけでなく、呉市をはじめとする地域社会にも大きな影響を与えています。学生たちの訓練や海上保安庁の活動が地域経済に寄与しているだけでなく、地域住民との交流イベントなども行われており、これからも益々地域との連携が強化され、海上保安庁の活動に対する理解と協力が一層進んでいくのではないでしょうか。
海上保安庁・練習船の役割
海上保安庁の練習船は、日本の海洋安全を守るために重要な役割を果たしています。練習船とは海上保安官の訓練に特化した船で、実習生たちが実際の海の上で必要なスキルを習得するための場を提供しています。練習船では、航海術や救助活動、海上での法執行に関する実践的な訓練が行われ、緊急時の対応能力や判断力を養うことで海上保安官を育てています。
実習生たちは、これらの船で行われる訓練を通じて、海上保安官として必要な知識と技術を実践的に学びます。また、練習船は単なる教育の場にとどまらず、災害時には実際に出動し、救助活動や支援任務に従事することもあります。
練習船での訓練は、国際的な協力の一環としても重要な役割を持っています。海上保安庁は、近隣諸国の海上保安機関(コーストガード)との連携を強化しており、練習船や海上保安大学校を通じた共同訓練や技術支援がその一環として行われています。
新造練習船「いつくしま」就役
新造練習船「いつくしま」は、令和6年7月に三菱重工で建造されたばかりの全長134メートル、幅16.3メートル、総トン数6,292トンの最新の技術を搭載した最新の訓練船で、実際の海上保安業務に必要なスキルを習得するための実践的な訓練が可能です。船内にはシミュレーション設備や実習用の設備が整っており、学生たちはリアルな環境で訓練を受けることができます。
(ちなみに海上保安庁の船の重さは総トン数で表される(海上自衛隊の護衛艦は排水量で表示)ので海上自衛隊の護衛艦と比較すると”きり”クラスと同じくらいの全長&排水量になるそうです)
船名「いつくしま」の由来は、国内外に知名度が高い世界文化遺産に認定されている”厳島神社”からつけられています。
船を操船する船橋は「航海船橋」と「実習船橋」が二階建てで設けられておりどちらの船橋でも実習生による操船訓練が可能になっているそうです。
「いつくしま」の導入により、海上保安大学校の教育体制がさらに強化されます。これにより、海上保安官としての基礎的な知識や技術だけでなく、国際的な問題に対処するための専門知識も学ぶことが可能です。また、実際の現場での即戦力となる人材を育成するために、より実践的な訓練が行われる予定です。
新造練習船「いつくしま」の就航で、海上保安官の育成を強化し、日本の海洋安全保障において重要な役割を果たすことが期待されています。この新たな船の導入により、海上保安庁の訓練体制が強化され、より高度な対応能力が養われることで、我々国民の安全が確保されていきます。
若者に選んでもらえる職場環境へ
実習生の居住区画となる船室はゆったりとした4名部屋でパーソナルスペースも確保されておりとても綺麗で快適そうでした。
また「いつくしま」の船内には海外の要人を招いた際のレセプションにも使用できる多目的ホールがあり、海上自衛隊の練習艦「かしま」よりもずっとラグジュアリーな印象でした。
学生食堂は「ファミレスかな?」と思うような決して豪華ではないけれどもおしゃれゴコロのある内装で、一瞬船の中にいることを忘れてしまいました(笑)
食堂の各テーブルにはスマホなどのデバイスを充電できるコンセントが多数用意されており、今後はWi-Fiも完備され遠洋航海に出た際でもネット環境が整備され、遠く離れた日本の家族・友人との連絡も取れるようになるとのことでした。最新鋭の練習船ということだけあり、少子化が進み人員不足になりがちな状況で、若者に選んでもらえるような職場環境づくりが進んでいるのが印象的でした。