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父の青春時代と亡き祖父を身近に感じられる呉は、ここにしかない景色と酒場文化が楽しめる街

東京都出身
ファッションモデル/くれ観光特使
倉本 康子さん
interview:2024.11.28

ファッションモデルとして活躍し、BS-TBSのテレビ番組『おんな酒場放浪記』にも長年出演している倉本康子さん。2024年から「くれ観光特使」に就任し、自身のYouTubeチャンネルやInstagramなどで呉の魅力を積極的に発信しています。呉にルーツのある彼女から見た呉の魅力やおすすめの酒場、呉の楽しみ方についてお聞きしました。

倉本さんと呉の繋がりを教えてください。

私の両親は現東広島市の出身で、父は呉市内にある広高校に通っていたんです。

呉は父が青春時代を過ごした思い出の街。
そして、旧海軍の航空部隊に所属していた祖父が暮らしていた街でもあります。

両親は結婚を機に東京に移住したため私自身は東京出身なのですが、幼少期からずっと「倉本家のルーツは呉だ」と聞かされて育ちました。

初めて呉を訪れたのは子どもの頃だったと記憶しています。

『大和ミュージアム』が開館した2005年頃に家族旅行で再訪して以来、大人になってからは仕事やプライベートで何度も来ています。
父は東京で暮らす今も広高校の仲間と交流があり、私も皆さんと仲良くさせていただいているんですよ。
関東で同窓会が開かれたときは、私たち子ども世代も参加させてもらったりして。

出身地は隣町だけれど、父にとって「心のふるさと」は呉。
娘である私も、呉に関しては父から英才教育を受けてきましたから(笑)、この街に対する思い入れの深さは私の中にも受け継がれています。

高校にも行ったことがあるんですよ。
校内に入ったわけではないけれど、「父がよく話してくれる母校はここなんだ」と感慨深かったですね。

また、広はかつて航空部隊があった場所なので、きっと祖父もここで過ごしていたんじゃないかと思うんです。
私が生まれる3年前に亡くなってしまい、会ったことがないからこそ祖父の足跡を求めている部分があって。

呉の街を歩いていると「祖父もこの道を歩いていたかも」「この海を見ていたのかな」と想像して、祖父を近くに感じることができるんです。

2024年は呉に住んでいる伯母が100歳、そして私が50歳を迎える節目の年だったので、父、姉、姪とともに呉に行き、合同誕生会を開いたんです。

数十年前のモノクロ写真をカラー化してプレゼントしたのですが、カラーで見ると当時の町並みをより身近に感じましたね。

大賑わいだった戦後の時代と今ではもちろん変わってしまった部分もあるのでしょうが、伯母や父、祖父が過ごしてきた時代が今に繋がっているんだなと思いました。

倉本さんが感じる、呉の魅力は?

海軍の街、造船の街としての歴史や文化が色濃く残り、海軍が発展した理由でもあるという独特な地形など、唯一無二の壮観な風景が広がっているところ。
近年は映画のロケ地にもなっていて、現代のカルチャーともリンクしているのが面白く、歩いているだけで楽しい街ですね。

東京都心は全国から人が集まっているので、そこに自分の「根っこ」があると実感している人は少ないと思うんです。けれど呉で生まれた人や、呉で人生を過ごした人には、この地に根っこがあり、誇りを持っている。

それがすごく良いなと思いますね。

広島県に何度も訪れる中で感じるのは、広島県民は熱いハートの持ち主だということ。
呉の方々はさらにその気質が濃い気がしますね。

呉弁は慣れない人からするとちょっぴりキツく聞こえちゃいますし、物事をハッキリと言う人が多いのですが、それは裏を返せば嘘がないということ。一度打ち解ければそのストレートさと、温かな人情が心地良いんですよね。

以前、父と一緒に老舗の『森田食堂』でお昼ごはんを食べたとき、お店に飛び交うネイティブな呉弁を浴びながら、人間らしくて情に厚い響きがするなと思ったのを覚えています。

呉に訪れたときは、どんな風に過ごしていますか?

呉には家族で訪れることが多く、父が恩師やお世話になった方々のお仏壇参りをしている間、私は車で『アレイからすこじま』や『大和ミュージアム』、『歴史の見える丘』などを巡り、呉ならではの景色を満喫しています。

そして呉といえば、私にとっては「飲み歩き」の街。
夜はもちろん酒場に繰り出します!

お店選びの基準の一つは「ネイティブな呉弁が聞こえる店」。
地元の方々に愛されているお店を開拓しつつ、以前伺ったところに再訪するのも楽しみなんです。

呉には生け簀がある焼き鳥屋さんがたくさんあり、それがこの土地の伝統的なスタイルなのだそうです。

生け簀から水揚げしたばかりの新鮮なお魚料理と、鳥の皮を味噌で煮込んだ名物料理「鳥皮みそ煮」や焼き鳥が同じ店で楽しめるなんて、全国的にも珍しいですよね。

そして、リーズナブルなお店が多いのも嬉しいポイント。今日撮影でお邪魔した『鳥八茶屋』さんにも立派な生け簀があり、落ち着いた雰囲気でありながらお手頃価格なので、次回は両親を連れて伺いたいです。

それから呉の酒場の特徴といえば、呉市役所近くの蔵本通りに並ぶ屋台!

赤ちょうちんが灯る屋台で、お酒と一緒にラーメンやおでんなどが楽しめます。
東京の飲み屋街からは屋台がだんだんと姿を消しているけれど、呉は市を挙げて屋台文化を盛り上げているんです。世の中の流れに逆行しているところが面白いですよね。

個人的に、歌謡クラブスナック『魔酔道(まよいみち)』は絶対に外せないお店です。

オーナーの樋口さんとは20年来の仲で、呉の「兄さん」と呼ばせてもらっています。InstagramなどのSNSもなかった約20年前、兄さんを知ったのは当時流行っていたブログ。私と同じくカープファンの兄さんが、バリバリの呉弁で書く文章が面白くって愛読していました。

ちょうどその頃、両親と呉に行く機会があり、せっかくなら屋台で飲んでみたいな~と思っていたんです。そこで「兄さんにおすすめの店を聞いてみよう!」と連絡を取り、現地の屋台で初めてお会いしました。

そこから兄さんのおかげで、呉や広島の人々との繋がりがどんどん広がっていきました。くれ観光特使に任命していただいたのも、兄さんから繋がったご縁がきっかけなんです。

今日もこれから二人でハシゴ酒をする予定です(笑)。 

呉に来たときは、同い年のユカリちゃんが営む『よしのや』などローカルな飲み屋に行き、それから屋台に移動して、最後は大好きな『魔酔道』で締める…という感じで3軒はハシゴしますね。

皆さんにもぜひ、最低2軒は巡ってもらいたいです!
呉の夜は、地域で愛されるお店と屋台の両方を楽しまなければもったいない!

もし私が呉に暮らしたら、曜日ごとに通う店を振り分けると思います(笑)。月曜はココ、火曜はココ…という風に。
それくらい魅力的な酒場がたくさんある街なんです。

これから呉を訪れる人へのメッセージをお願いします。

海軍や戦艦大和に関する歴史を学んだり、『仁義なき戦い』や『孤狼の血』、『この世界の片隅に』などのゆかりある作品を見たりしてから訪れた方が、呉の街をより深く楽しめると思います。

私も取材の前に『入船山記念館』に行ってきました。
NHKのドラマ『坂の上の雲』が撮影された場所なのですが、こうした歴史的な建造物が残っているところも呉の魅力ですよね。

明日もなるべく早起きして、気になるスポットを見て回ろうと考えているんです。限られた時間の中でも、できるだけ呉を巡りたいなと。

島の方にはまだ行ったことがないので、今度はとびしま海道を渡って、映画『ドライブ・マイ・カー』に登場していた大崎下島などの島々を訪れてみたいです。
きっと街なかとはまったく違う景色が広がっているんだろうなと、行ける日を楽しみにしています。

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