こんにちは、市民ライターの北裕実です。
イラストレーターとして活動する私は、アートイベントが大好き!今回訪れたのは、広島県呉市の大崎下島(おおさきしもじま)・御手洗(みたらい)地区で開催された「みたらいアートウォーク」。歴史ある町並みを歩きながらアートを楽しめるこのイベントで、移住して創作活動をする方々とも交流できました。
島暮らしの魅力を知るきっかけにもなり、ぜひKURETOの読者さんにもお伝えしたいと記事を書いています。
江戸時代の町並みを歩きながら楽しむアートイベント
大崎下島は、広島県南部・瀬戸内海に浮かぶ島のひとつ。呉市の中心部から車で約1時間、4つの橋を渡ってアクセスします。柑橘栽培が盛んで、「みかんの島」としても知られています。
イベント会場の御手洗地区は、かつて瀬戸内航路の風待ち・潮待ちの港町として栄えたところ。今も江戸時代の町並みが色濃く残り、映画やドラマのロケ地にもなっています。
そんな町に点在する空き家や蔵が、アートイベント期間中は展示会場に早変わり。作品をめぐってまち歩きしながら、在廊する作家さんと気軽に話せるのもこのイベントの魅力です。
島で創作する魅力を感じた、作家さんとの会話
まず訪れたのは、島に移住した画家・田中佐知男さんの作品が並ぶ「ギャラリーKITANI」。
広げた両手ほどもある大きなキャンバスに描かれた、瀬戸内の海のきらめきに、思わず「わぁ〜」と声が出ました。田中さんはこのイベントの立ち上げメンバーでもあり、地域に根ざした創作活動をされているそうです。
次は「NAYA KITANI」へ。蔵をリノベーションした、素敵な佇まいのギャラリーです。管理人のイラストレーター・船本トオルさんは、呉市内から毎週末通っているそう。みかんや潜水艦など呉にちなんだイラストに、ユニークなオリジナルストーリーが添えられて、楽しい時間を過ごしました。
そして、海の目の前にある「船宿」では、昆虫や海の生き物をかわいらしく描いた作品に出会いました。お話を聞かせてくれたのは、移住して隣の島に暮らすイラストレーター・おりでちせさん。「この虫たちは全部、島で見かけたんですよ」と教えてくれました。
便利ではないけれど、心地いい島の環境
島に暮らし、創作を続ける人。島に通い、作品を届ける人。関わり方はそれぞれですが、皆さんに共通していたのは「不便もあるけれど、この環境があるから創作ができる」という言葉です。
描きたいモチーフがすぐ目の前にあり、いつでもスケッチできる。生き物に囲まれた静かな環境は、都会よりも落ち着いて過ごせます。来場者が多くないからこそ、作品についてゆっくり話す時間が持てることも魅力のひとつ。
都会のような便利さはないけれど、「この暮らしが心地いい」と感じられる人にとって、島はとても魅力的な場所なんだなと、改めて気づかされました。
アートイベントで気軽に訪れて、移住に触れるきっかけに
島での暮らしに憧れつつ、不便さを理由に移住をあきらめてしまう方もいると聞きました。
でも実際には、呉市内に住みながら週末だけ島に通い、関わっている方もいらっしゃいます。暮らしやすさを大切にしながら、自分に合った距離感で島と関わる。そんな柔軟なスタイルができるのも、瀬戸内の魅力のひとつです。
「みたらいアートウォーク」は、春と秋に開催されています。
移住相談会はちょっと勇気がいるという方でも、アートイベントなら気軽に参加しやすいはず。アートをきっかけに、町の雰囲気や暮らしに自然と触れられます。
島や瀬戸内の暮らしに関心のある方は、ぜひ一度足を運んでみてください。

船宿カフェでちょっとひと休み
まち歩きの途中で立ち寄ったのは、おりでちせさんの作品が展示されていた「船宿」にあるカフェ。
島の特産品・みかんやレモンをたっぷり使ったスイーツと、落ち着いた店内から眺める静かな瀬戸内の景色に、ほっとひと息つきました。そんなゆったりとした時間を、イラストに描いてみました。ほかにも、町のあちこちに素敵なカフェやレストランが点在しています。まち歩きの合間に、そんなスポットもぜひ楽しんでみてくださいね。