こんにちは！呉が大好きすぎて、毎月のように足を運んでいる旅するプランナー兼市民ライターの艦ちゃんです。今回も呉の魅力をたっぷりとお届けしたいと思います！
呉市幸町地区には、海軍の歴史を今に伝える青山クラブと桜松館が隣り合い、周囲には旧呉鎮守府司令長官官舎や呉市歴史民俗資料館、呉市立美術館といった文化施設が点在しています。
この地区は明治から昭和にかけて軍港として繁栄した呉の記憶を刻んでおり、洋風建築と和風建築が同居する景観は、戦前から戦後へと続く都市の変遷を思い起こさせます。呉市では地区全体を「歴史・文化・芸術の拠点」として再整備する方針を打ち出し、施設間を巡る遊歩道の整備や新しい美術館の建設を検討しているようです！
古い建物の保存と活用を両立させながら、観光客にも市民にも親しまれるエリアに生まれ変わろうとしています。歴史的建造物である青山クラブと桜松館、両建物を舞台に開催された入船山秋祭り2025について紹介します。
青山クラブは1903年に「呉海軍下士卒集合所」として開設され、一般兵の休養施設として利用されていました。1921年には「下士官兵集会所」に改称され、1936年に鉄筋コンクリート造の3階建て・地下1階の現在の姿へと建て替えられています。
戦時中は海軍将兵や市民が集う交流の場として機能し、戦後は英連邦占領軍が撤退する1956年まで使用、その後は海上自衛隊の厚生施設として2017年まで活躍しました。
かつては宿泊施設や食堂があり一般の利用も可能でしたが、老朽化が進み2016年に使用中止が決定され、現在は外観のみ見学できます。
赤茶色の外壁は煉瓦ではなく塗装された鉄筋コンクリートであり、昭和モダンな雰囲気を漂わせます。入船山秋祭りの開催日には中庭が開放され、普段は立ち入れない敷地に足を踏み入れられる貴重な機会となりました。
青山クラブと並んで建っている桜松館は、日露戦争で遭難した巡洋艦「吉野」と「高砂」を追悼して建てられたホールです。1905年に木造のホールが下士卒集会所内に建てられたのが始まりで、1929年に鉄筋コンクリート造・地下1階地上2階の規模に建て替えられました。
旧海軍時代は銃剣道の道場や演劇の上演に使われ、その後、1980年からは海上自衛隊呉音楽隊の練習拠点として利用されてきました。
美術館通りに面した外壁には「呉」の文字と錨・大砲・桜を組み合わせたレリーフが刻まれ、周囲に配置されたアールデコ風の装飾が昭和初期の雰囲気を残しています。
現在は原則非公開ですが、内部のアールデコ装飾は奇跡的に往時のまま残されており、建築ファンから県内屈指のアールデコ建築として高い評価を受けています。青山クラブと同様に老朽化が進んでおり、保存や活用の方向性が議論されています。
入船山秋祭り2025では、先着で内部見学ツアーが開催されました。普段見ることのできない桜松館を隅々まで見学できた貴重な体験となりました。（内部の写真撮影はNG）
2025年10月5日（日）に青山クラブ中庭で開催された「入船山秋祭り2025」では歴史を感じることができました。
祭りのテーマは「昔と今をつなぐ青山クラブで、入船山の未来を描こう！」オープニング演奏のあと、tone bouquetのライブや呉市の人気店によるグルメ屋台、PIZZERIA NALIPOや金子製菓、がんす娘。とがんすの三宅水産など多彩な出店が並びました。
革小物のステッチハウスや食品サンプル作りのレナイン、手のひら文庫社などのワークショップも充実し、子どもが楽しめる絵本制作や手芸体験、昔懐かしい紙芝居やラムネ早飲み大会も行われ大変賑わっていました。
青山クラブの中庭で味わう音楽や食、工芸体験は、呉の歴史と現代の文化が融合した賑わいを体験させてくれます。再整備計画が進む中で開催される今年の秋祭りは、古い建物と新しいアイデアが共存する未来の入船山を象徴するイベントとだったと感じました！
