こんにちは。呉が好きすぎて毎月通っている市民ライターの艦ちゃんです。
最近、Instagramで呉市の地元食材を超絶精巧に再現した食品サンプルグッズを見かけるようになりました。
福住フライケーキや天武蔵さんの”えびフライ”、巴屋さんの”アイスもなか”などなど、まるで本物(いや本物以上)のようなクオリティの食品サンプル、めちゃくちゃ気になってました。
「これはどこで作っているんだろう?」と調べたところ、なんと呉市に食品サンプル工房があるじゃないですか!?(ビックリ)
もともと食品サンプルといえば岐阜県の郡上八幡が圧倒的に有名ですが、なんで呉なんだろう・・と興味は膨らむばかり。。。。気になって気になって夜しか眠れないくらいでした(笑)
もう、気になったら話を聞きに行くしかない!ということでさっそく呉市本通6丁目にある「ハンドワークス レナイン」さんへお話を聞きにいってきました。
◾️食品サンプルの歴史◾️
普段、飲食店や百貨店でなにげなく目にしている”食品サンプル”
日本における食品サンプルのルーツは、1920年代に遡ります。食品サンプルはレストランのメニューを客に視覚的に示すために作られた『立体広告』なのです!このアイデアは、特に外国の方など言葉の意思疎通に障壁がある場合や、料理の見た目を正確に伝えたい場合に効果的でした。
食品サンプル制作の始まりとされるのは、大阪の高橋利兵衛が1920年代に創始したという説が有力です。パラフィンワックスを用いて最初の食品サンプルを製作しました。これらの初期のサンプルは、現在のものほど精巧ではありませんでしたが、そのリアルさと実用性で大きな注目を集めました。
戦後、食品サンプルの需要が高まり、技術も進化していきました。特に、ビニール樹脂などの新しい素材の使用により、よりリアルで耐久性のある食品サンプルが作られるようになりました。今日では、食品サンプルは高度な技術と芸術性を兼ね備えた日本独自の文化として認識され、国内外で高い評価を受けています。
◾️食品サンプルを作るようになった理由◾️
「ハンドワークス レナイン」は若松さんご夫婦が経営されている工房です。ご主人の信也さんは愛知県出身。小さなときから模型が好きでモノ作りの仕事をしたいと思いデザイン系の学校に通っていたそうですが、なかなかモノ作りの求人がない状況。
そんな中で実家から通えるところにルーツが岐阜県郡上八幡にある食品サンプルの会社があることを見つけ、「ぜひ見学させてください!」と電話をしたそうです。
そちらの会社を見学した際に社長から「就職決まってないのか?じゃあウチで働かないか?」と誘われたことがきっかけで就職。食品サンプル業界に入ったそうです。
奥様の桃子さんは呉市出身。教員になろうと徳島県の大学に通っていたところだんだんモノ作りに心惹かれ、ご主人の働いていた愛知県の会社に求人が出ていないのに履歴書もって飛び込んできたそうです。(信也さん:談)
ここでもまた社長の「働けばいいがや(名古屋弁)」で就職が決まったそうです。
◾️呉に移住するきっかけ◾️
愛知県の食品サンプル会社で14年勤めていた頃、信也さんはいつかは独立して自分の工房を持ちたいと考えるようになっていったそうです。
海と山の自然が大好きだった信也さんは、桃子さんの実家がある呉市に来るたびに、自分の理想の環境だと思うようになったそうです。
桃子さんの実家はお父様が画家をされていたこともあってもともとアトリエがあったり、食品サンプル工房にするにも理想的な建物だったため、これを機に呉市へ移住することになったそうです。
◾️生活を一変させたコロナ禍◾️
呉市に移住しBtoBでの食品サンプルの仕事も順調に進んでいた2020年、突如世界中が新型コロナウイルスによるコロナ禍に見舞われました。
レストラン・飲食店や百貨店など、お客様が来てはじめて”立体広告”である食品サンプルが必要になるところ、度重なる緊急事態宣言で外国人はもとより日本人の移動も限りなくゼロになったことで、BtoBの仕事も嘘のようにあっという間にゼロになったそうです。
◾️コロナ禍で生まれたヒット商品◾️
家にいるとき以外はほぼマスクの生活が続いていた2020年。世の中のマスク不足もあり細いゴムのついたマスクを使わないといけないことも多かったです。
そんな時に若松さんのお子さんが「ずっとマスクをしていて耳が痛い」と言うようになったそうです。
(日本中、みんながそう思ってましたよね)
マスクのゴムを耳にかけなくてもいい”マスクバンド”のようなものを自作する人がチラホラいたり、みなさんいろいろ試行錯誤していたようです。
そのとき、「工房で使ってる食品サンプルの素材を使っておしゃれで使いやすいマスクバンドができないか?」と思いつき商品化。
完全受注生産で通販で販売を始めたそうです。
ぼちぼち売れていたということなのですが、2020年5月に架かってきた一本の電話がきっかけでまさかの事態が到来しました。
フジテレビの情報番組「Mr.サンデー」でレナインさんとマスクバンドが紹介されたのです!
全国放送の情報番組の破壊力の凄さ!たった一晩で1,000件もの注文が入ったとのこと!
なにせ受注生産で在庫を持たずに販売していたため、その日からはひたすらマスクバンドを作る日々になったそうです。
(最終的には1万個近い注文になり一時期は納品3ヶ月待ちになったんだとか)
◾️ヒット商品の影で考えたこと◾️
幸いにもTVや新聞などのメディア効果もあり、ゼロになっていた仕事がマスクバンドを作ることで一時的に増えてきましたが、無心になってマスクバンドを作り続けている中で、考える時間だけは無限にあったため、頭の中では「大好きな呉のことや、美味しいもののことを食品サンプルを通じてどうやって世の中に知ってもらえるだろうか?」とずっと考えていたそうです。
そこで『食品サンプルで地元呉の商品やいろいろな美味しいものを全国に発信していけないか?』という答えに辿り着いたのだそうです。
◾️地元・呉のコラボ商品◾️
呉市のご当地キャラ”呉氏”のコラボグッズをはじめ、呉市民が昔からなじみのあるお店の商品のグッズ化を次々と企画。
福住フライケーキや天武蔵さんの”えびフライ”、巴屋さんの”アイスもなか”など本物以上(?)のクオリティでつい食べたくなるような大人の遊びゴコロをくすぐるアイテムを発売し、地元の方だけでなく全国から注文が入っているそうです。
最近では、この春「ゆめタウン呉」に移転リニューアルオープンしたユニクロさんのディスプレイ用に呉市・広古新開にある三宅水産のがんすを使った「呉海自がんすバーガー」を制作!
ちょうど制作中のものを見せてもらいましたが、そのまま食べたくなるクオリティでした!
ユニクロ、ゆめタウン呉店にディスプレイされていますのでぜひ見に行ってみてください。
※「呉海自がんすバーガー」とは、呉地方で昔から食卓に並ぶ魚のすり身にパン粉をつけて揚げた「三宅水産特注のがんす」に海上自衛隊呉地方総監部の指導方針にちなんで名づけられた様々な料理に合う、カレー風味のスパイスの効いた万能調味料「愚直たれ」を使用したバーガーです。
◾️暮らしやすい街・呉◾️
愛知県から呉市に移住した信也さん、呉市出身の桃子さんに、これから呉に移住を考えている方へのメッセージと地元に帰って改めて感じたことをお聞きしました。
お二人とも一言で表現すると安心感のある「暮らしやすい街」とのことでした。
普段の生活は呉から出なくても不自由なく暮らせ、ちょっと出れば広島市内まで行ける距離。
海や山の自然が近いのでいつでもすぐに子供たちと遊びにいけること。
空気がキレイで(旧市街地は)雪もめったに積もらないこと。
とのことでした。
呉市へ移住を考えている方は、ぜひ市役所まで軽い感じでご連絡いただければと思います。
HAND WORKS renine はコチラ
◾️アクセス:広電バス 呉駅前から本通6丁目バス停前(約10分)